経営の現場は『知恵の宝庫』
疋田文明が注目する元気印企業を事例に 勝ち残る企業像、あるべき経営者像を 経営者のみなさまと共に探求します。 |
更新履歴
|
経営者の会合に顔を出すと、異口同音に、「不透明だ、先が読めない」という言葉が返ってくる。こんな状況の中で、決断をくだすときに、リーダーは何を参考にすべきなのだろうか。耳を傾けたいのは、中国の春秋時代(紀元前770年~前403年)の覇者、斉の桓公を補佐した管仲の次の言葉だ。
「現状を理解できないときには、昔のことから推察するしかない。未来を予測できないときには、過去を振り返ってみるのがよい。すべてのものごとは、現れ方は異なっているようでも、その法則性は古今を通じて同一なのだ」
そんな古い時代の教えをと言わないでほしい。本田宗一郎も、「歴史を否定して、現代はできないのだ。未来の方向に正しく向くには、歴史を背景にもたなければならない」と、まったく同じ趣旨の発言を残している。
では、いまに生きる我々は歴史から何を学べばいいのだろうか。
まずは、「一歩踏み出すこと、行動することの大切さ」だと思う。中国の古典に髄所で出てくるのが、「知ることが難しいのではなく、行うことが困難である」との考えだが、まさに、いまは、行動力が問われているのである。
東日本大震災で被害を受けられた地域の復興が何にも増して優先されるべきなのに、年度末になっても、復興予算の4割弱、5兆円弱ものお金が、執行されていないという。
いくら計画がしっかりしていても、それが実行されなければ、たんなる思いつきにすぎないのだ。ましてや、予算まで付いているのに、執行されないというのでは、なにをかいわんやである。
日本を被う閉塞感の一因に、経済の停滞があることはいうまでもない。日本経済復興の切り札ともいえる復興予算すら執行されないで、明るい兆しが見えてくるわけはないではないか。一方で消費税増税が与野党一致でスケジュール化しようというのだから、本末転倒もいいところだ。
老子は、「人民の生活を安定させることが、王道政治の手始め」だと説いている。やはり、いま優先すべきは、生活を安定させるために、雇用所得を増加させることだと思える。雇用所得が伸びれば景気が上昇することは、歴史が証明している。
最近は、デフレから脱却(景気回復)するためには通貨の供給量を増やすべきだ、と主張する識者が多い。ところが、筆者が尊敬するエコノミストの赤羽隆夫(景気探偵・元経済企画庁長官)さんは、「マネーサプライの増加が物価上昇を起こす」との考えを否定する。
赤羽さんは、過去インフレが起きたときを仔細に調べ上げた上で、マネーサプライとインフレに相関関係はないと分析し、「雇用所得の上昇なしに物価は上昇しない」と指摘されているのだ。
いま、歴史から学ぶとすれば、以上のことだと思うのだが、極論にすぎるのだろうか。
|
このページをご覧頂くためには、Macromedia Flash Player が必要になります。 Copyright(c) 2005 Fumiaki Hikita Official Site. All rights Reserved. |