経営の現場は『知恵の宝庫』
疋田文明が注目する元気印企業を事例に 勝ち残る企業像、あるべき経営者像を 経営者のみなさまと共に探求します。 |
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11月3日午前0時、鹿児島県川辺町の周辺道路は、時ならぬ渋滞を引き起こしていた。その原因となったのが、その日にオープンしたA‐Zスーパーセンター川辺店(会社名はマキオ、以下AZ)だ。川辺町の人口はおおよそ1万5千人。周辺にも大きな市町村はない。鹿児島市内から車で40分はかかる不便な場所。そんな町に、4000坪近い売り場面積を持つ
24時間営業の大型店が誕生したのだ。 筆者は11月10日に訪問したのだが、平日の午前中というのに、買い物客が数多くいる。オープン以来、商品の補給が追いつかないほどの盛況ぶりだと聞く。店舗のある場所は、従来の常識からすると、
大手量販店が成り立つ商業立地ではない。なぜ、そんなところにAZは出店したのか。 同社の牧尾英二社長は、「競争相手が出てこない立地だからです」と、笑って言うが、これは本音でもあるのだ。実は、川辺店は2号店で、創業の店は鹿児島県阿久根市にある。現在の阿久根市の人口は26000人。川辺よりは多いが周辺人口は大差がない。牧尾社長は、この阿久根市に1997年、3500坪の売り場面積を持つ
大型店を24時間営業でオープンさせている。なぜ、こんな場所にと聞くと次のような答えが返ってきた。 「田舎の人だって、欲しいと思う商品を、欲しいと思うタイミングで買いたいのです。ところが、
大手量販店は間違っても進出してこないから、不便を感じている人は沢山いるのです。それならば、私がと……」流通業に関わる人ほど、その挑戦は無謀だと非難した。銀行も離れていった。いつつぶれるか、賭けの対象になったと聞く。結果はどうだったのか。初年度、損益分岐点45億円の店が62億円売り、その後1000坪増床して、売上は100億円を超えるまでに成った。 この成功を受けての川辺への出店だったのだ。AZの成功を見ると「
経営の世界には教科書も公式もない」ことが本当によく理解できる。牧尾社長は、「前例否定」の精神で挑戦したことがよかったという。既存の流通業とAZの違いはどこにあるのか―― 注目企業紹介で詳しく紹介する。 |
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