経営の現場は『知恵の宝庫』
疋田文明が注目する元気印企業を事例に 勝ち残る企業像、あるべき経営者像を 経営者のみなさまと共に探求します。 |
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商業用、産業はかりのトップメーカー㈱イシダの石田隆一社長の座右の銘は、「盛時驕らず、衰時悲しまず」だという。イシダは、今年創業115年を迎える老舗企業だが、企業の寿命が年々短くなる中にあって、同社がいまなお隆盛でいられるのは、石田社長が、この座右の銘を文字通りに実践してきたからにほかならないと筆者は考えている。
これは、イシダばかりでなく、継続して栄えている企業に共通していえることだ。
業績がいいのにもかかわらず、満足せずに新しいことにチャレンジしていくマブチモーターの馬渕隆一会長に、「なぜ、次々に…」と聞いたときの答えは次のようなものだった。 「確かに、その時点では業績はよかったが、考えたのは、『こんないい状況はいつまでも続くわけがないのだから、今のうちに次の手を打っておこう』ということでした」 継続して栄えることのできる企業は、「いい時に慢心せずに次なる手を打ち、悪い時に悲観せずに更なる手を打つ」ところなのだが、これほど難しいこともない。 「草々と守成、いずれが難きか」の問いで知られる「貞観政要」の中に次のような記述がある。
「古来からの帝王を観察しまするに――略――ひとたび平和になり安楽になりますと、必ず寛怠(緩み怠る心)を欲するようになります。君主が寛怠を欲すようになれば、その心に逆らってはいけないと思って、諌める者もいなくなってしまい、ついには国家の危亡を招くようになります。昔の聖人が国家の安らかなときにも、いつも危難のときを思って緊張していたのは、正しくこれがためであります。ですから、安らかでありながら大いに警戒しなければなりません」(明治書院刊・原田種成博士) どれほどに優れた君主でも、権力を手にして3年もたつと寛怠を欲するようになり、終わりを全うできないという。
「安きに居て危うきを忘れず、存続しつつも亡びることを忘れず、治にいても乱を忘れない。こうあってこそ、その身は安らかで国家の安泰をも保ち得るのである」(易経)――この孔子の言葉に、好調企業の経営者ほど耳を傾けていただきたい。 |
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